千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。そして勝負は一瞬で。
ジワジワと間合いが詰まる。
互いに相手の隙を狙い、すぐにでも打てる気勢と体勢を保ちながら、
ジワジワと間合いを詰める。
これ以上に間合いが詰まれば、逆に相手の技に反応できなくなるかも知れないようなギリギリのところまで間合いが詰まり、一瞬も気を抜けない緊張感の中で、相手に重圧を掛けながら、また、相手の重圧に耐える。
いっその事、動いてしまえば、勝つにしろ負けるにしろ、この緊張感と重圧から解放されて楽になれるかも知れない。
それでも必殺の一撃を放つためのに、簡単には動かない。
そして、そこから私が僅かに間合いを詰めようとしたその瞬間、ピンと張った空気を切り裂くように相手は私の腕を切り落としにきた。
私は咄嗟にその竹刀を鍔で受け、直ちに必殺の一撃を繰り出した。
勝負を終えた互いの間には、正々堂々と本気で勝負してくれた相手への尊敬と感謝と清々しさが残った。
剣道の稽古の中には、辛いことも苦しいこともある。
暑い日も寒い日も、それに耐えて心身を鍛え、技を磨き、どうすればもっと速く竹刀を振れるのかを考えたり、工夫と研究を重ねていく。
もちろん、一人ではできないことも沢山ある。
共に稽古に励む方々に対する感謝を忘れてはいけない。
そうして身に付けた全てをこの一瞬に掛ける。
「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。」
これは、江戸時代の剣豪、宮本武蔵が残した名言の一つと言われてます。
そして勝負は一瞬で…。
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2018.09.10 14:31