老剣士の掛け声 上意で御座る
剣道は礼に始まり礼に終わります。
試合で1本とったからと言ってガッツポーズをすると取り消されます。
応援にヤジは禁物です。
何故でしょう?
上意で御座る。
江戸時代、侍は生まれながらにして侍でした。ですから弱虫であっても病弱であってもまず剣術を教わらなければなりません。
そのうち家業の都合や多方面の才覚などで剣術から離れることはあっても、ある時上意が下れば剣を抜かねばならぬという覚悟はついて回ります。
上意とは「お上の意思」すなわち殿様の絶対命令です。
「貴方には何の恨みも持ってはおりませんが、私が侍であるために貴方のお命を頂戴しなければなりません。」
となるのですから、ちゃんとお辞儀をし、剣を合わせ気をあわせ正々堂々と立ち向かわないわけには行きません。
刃に毒を塗らないのは日本だけですが、そんなことをすると「武士の風上に置けないやつ」と切腹を命ぜられます。
首尾よく討ち取ったとしても静かに剣を収め手を合わせるのみで、
立ち合いが居ても見届けるのみです。
たとえ、それが認められて後に家禄が上がったとしても、
勝利宣言などもってのほか。だったのです。
剣道はいまでも、この精神は良いこととしています。
たとえ、基本打ちの稽古であっても
お願いしますの思いを込めて剣を合わせ
ありがとうございますの思いを込めて剣を収めましょう。
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