一歩を踏み出す勇気

剣道は人間形成の道であると
常々伝えてますが、
これは剣道の理念であり、
これがないと、剣道は、
ただ棒で叩き合うだけの
暴力になりかねないのです。

言うまでもなく、剣道と暴力は違います。

強くなるために努力して、
辛い稽古に耐えて、
工夫と研究を繰り返し、
成功と失敗を繰り返しながら、
ときには挫折し、
それでも強くなろうと努力を重ね、
そして、
試合や審査といった本番で
積み上げたものを発揮する。

その過程は、
人の生き方と重なる部分が多く、
良い結果を出すために、
様々な場面や、苦境を乗り越えて
努力するということは、
生きていく中で、
重要なことだと私は思います。

そして、この過程は、
稽古という短い時間や、
もっと言えば、一本を取るという
短い時間の中にも存在します。

一本を取るために、
自分を倒そうと襲いかかる相手に
怯むことなく向かってく中には、
一本を取られる恐怖を乗り越え、
叩かれて痛いときも、
打ち合って息があがり、
苦しいときも、それを乗り越え、
更に強い相手なら、
構えてるだけでも押し潰されそうな
重圧を感じるときもありますが、
それをも乗り越えていくのです。

よく「剣道を見れば、
その人がどんな人なのかがわかる。」

といわれるのは、
そういった理由からです。

剣道の教えの中に、

「山川の瀬々を流れる栃殻も
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」

という言葉があります。

また、同じく剣道の教えに、

「切り結ぶ 太刀の下こそ地獄なれ
踏み込みいけば あとは極楽」

という言葉もあります。

前記の言葉は「捨て身」の大切さを
説いた言葉で、
川を流れる木の実が
実を守ってるうちは浮かんでこないが、
実を捨てた殻は浮かんでくることから、
ここぞというときには、
身を捨てる覚悟を持って挑めば
活路を見出だせることもある
という教えです。

そして、後記の言葉は、
読んで字のごとくですが、
切り結ぶ太刀の下は、
まさに命懸けの危険な状態。
重圧のかかる厳しい状態ですが、
そこで踏み込み進めば
勝つことができるということです。

八方塞がりの状況でも、
身を捨てる覚悟をして一歩踏み出せば、
状況は変わり、活路を見出だせる。

大切なのは、
その一歩を踏み出す勇気です。

もちろん、
人生の中にも同じような状況はあります。
そこで無闇に進むだけでは、
ただ危険に身をさらすだけで、
それは勇気ではなく無謀です。

しかし、ここぞというときには、
その一歩を踏み出す
勇気を持って欲しいと思います。

これは、私の経験上の話になりますが、
勇気を振り絞って一歩踏み出せば、
あとは流れや勢いで
意外と呆気なく物事が進み、
何事もなかったかのように
何とかなることも多いですよ。

瓜破剣道会

大阪市平野区にある 剣道会です。 子どもから大人まで、みんなで元気に稽古に励んでいます。

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